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発現変動遺伝子群解析結果を概観し発現変動遺伝子を探す
MAプロットは、遺伝子(あるいはエクソン)ごとの発現量について、そのばらつきや実験群間での差異を概観できるグラフです。
遺伝子(あるいはエクソン)ごとに発現量を算出し、サンプル間で比較し、ログ比(M)と平均発現量(A)を求めます。前者を縦軸、後者を縦軸にとり、遺伝子(エクソン)ごとに点を打っていくと、掲出のような図が得られます。
データの歪みを直感的に把握でき、マイクロアレイやRNA-Seqデータが正しく取得でき、適切に補正されているかをチェックできます。また、発現変動遺伝子の候補を選び出すのに役立てられます。
表出のようなデータをPNG形式でご提供します。通常はscatter plot, volcano plot, heatmap, cluster analysis result dendrogram等のデータとセットで提出させていただきます。
RNA-Seqのカウント数の処理、補正の過程に問題があると、MAプロットが不自然な形態を示すことがあります。
通常ならY軸の0を中心に上下に分布すべき点がグラフの上方や下方の領域に固まっていたり、典型的な形を取らずに歪んだ形に散らばっていたりしているなら、計算処理を何か間違えているかもしれませんし、そもそもデータのとり方に問題があったのかもしれません。弊社では時間をかけて内製した専用スクリプトを全てのデータに適用しているので、計算処理を間違える可能性は低いのです。ある特定の実験結果のみが不自然であった場合、初期段階、カウントデータを集める過程で何か不備があった可能性を検討せざるを得ないでしょう。
RNA-Seqやマイクロアレイ実験を試みるとき、研究者がまず欲しいのは一般に「対照区に対して実験区において明らかに発現が増大(現象)している遺伝子」でしょう。これをDEGと略称することがあります。
MAプロットの縦軸に注目したとき、点が中央ではなく上は下に外れて位置したとしたら、その遺伝子の発現量はサンプル間で差が顕著であると言えます。しかし、この基準だけでその遺伝子がDEG (Differentially Expressed Gene)であると判断するのは危険です。全体的に発現量が低い遺伝子では、発現量がばらつきやすいため、サンプル間での「差」も大きくなりやすいからです。
真のDEGは高発現でかつサンプル間で差が顕著なものの中に多く見られることが分かっています。すなわち、MAプロットにおいてはグラフの右上や右下にその他の多くの点とは離れたところにプロットされた遺伝子がDEGである期待大と考えられます。